子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

外の世界とつなぐコミュニケーション

2022/02/10
#外の世界とつなぐコミュニケーション #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【外の世界とつなぐコミュニケーション】

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでもらいたい。だから、紅茶でも飲みながら、ゆったりとした気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今回は、子どもとのコミュニケーションはなんのため?ということを考えたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

子どもたちを外の世界とつなげる

子どもたちとコミュニケーションをうまくとれるように、こんな風に子どもに接するといい、ということがたくさんあります。例えば子どもに何かを伝える時には、いくつも文章を組み合わせるのではなくシンプルに伝える。あるいは、目で見てわかる形で示しながら伝える。もしも子どもが気持ちを表現することが苦手であれば、周りの大人がその子の気持ちを言葉に出して言ってあげる。こんな風に、子どもとのコミュニケーションを上手におこなう方法は色々ありますね。

僕は以前の放送で、物事をおこなううえではコンセプトが大事、という話をさせてもらいました。子どもとのコミュニケーションを図るうえでも、やはりコンセプトがとても大事と思っています。だから、子どもとのコミュニケーションを練習するうえで、大切にしているコンセプトがあります。それは、なんだと思いますか?

それは、子どもたちを外の世界とつなげるということです。外の世界のことを子どもに伝える、子どもが外の世界に伝える。そういった、外の世界とのつながりを子どもが築けるように関わる、という意識をもつことがとても大切なのです。

大活躍するコミュニケーション

子どもたちは生まれて赤ちゃんの頃は、泣いて母親などを求めます。抱っこされたり、あやされたりして、赤ちゃんも笑います。そうやって、赤ちゃんは外の世界を感じるのです。その赤ちゃんの期間に、人という生き物が求めるものが凝縮されています。誰かとつながりながら生きる。それは愛を求めて生きるとも言えるかもしれません。それが本来、人が求めるものです。

そんな赤ちゃんは、母親などの身近な人とのつながりから、もっと多くの人とつながる時期を迎えます。例えば、幼稚園や保育園、そして学校でのつながりです。そういった社会で、お友達や先生とつながりながら、外の世界を感じていきます。そうやって、子どもは成長するに従って、多種多様な人がいる社会で生きる経験を積んでいきます。

そこで、大活躍するのがコミュニケーションです。コミュニケーションは言葉だけとは限りません。言葉以外にも、表情や身振り手振りなど、色々なコミュニケーションによって、色々な人とつながる体験をします。

外の世界を上手に認識できないと・・

お友達とにぎやかなコミュニケーションをとりながら、挨拶が上手なお友達、運動が得意なお友達、楽器の演奏が得意なお友達など、どんどん外の世界を感じていきます。そうやって他人とつながりながら、少しずつ気づいていくものがあります。それが、自分という存在です。

色々な人、色々な世界を知ることで、じゃあ自分ってどんな人なんだという視点が生まれます。自分を俯瞰的に見る姿勢が生まれるということです。自分は準備がゆっくりな人だから、事前に準備をしておこう。そうやって、自分を知ることで社会で生きるための行動をとれるようになります。つまり、自分を俯瞰的にみることで、社会で生きるということも学ぶということです。

でも、そのコミュニケーションが苦手な子どもはどうでしょう。気持ちを表現したり、人の言葉を理解することが苦手な子どもたちは、外の世界を正しく認識できない。例えばそんな子どもたちは、お友達が優しさをもって接してくれたけれど、それを嫌がらせと勘違いしてしまうこともあります。

そのように、外の世界を上手に認識できないことは、どんな状態につながるでしょうか。それは、自分への認識のズレあるいはゆがみにつながっていきます。外の世界への認識がズレるために、自分への認識も歪んでしまう。本来の自分の良さを感じることができなくて、自信を失ってしまう。それはやはり、もったいない。

社会を支える人材を育てる

このように、自分を正しく俯瞰的に見ることができ、自分の良さに気づけるためには、まずは外の世界を正しく知ってもらう必要があります。そのために、僕たち大人にできること。それが、子どもたちを外の世界に正しくつなげるということです。

子どもたちに外の世界を正しく知ってもらうために、シンプルに伝えるという方法もあるでしょう。目で見てわかるように示す方法もあると思います。その一つひとつのやり方を「スキル」として捉えてしまってはもったいない。僕たち大人が子どもとコミュニケーションを上手にとろうとするのは、子どもたちを外の世界に正しくつなげるためです。そうやって、子どもたちが外の世界を正しく知ることによって、子どもたちの自分への正しい意識を育てられるからです。

自分への正しい意識が育てば、社会で生きる自分という視点が備わります。自分の個性を生かしながら、他人とどう生きるかということを考えられるようになります。その姿勢は、これから人口構造が大きく変わる社会を生きるうえで欠かせません。お互いに協力し合いながら社会を支える人材を育てる、という観点からもやはり大切なのです。

子どもを外の世界へ正しくつないであげること。子どもとの関わりの中で、ぜひ感じてもらえれば嬉しいです。

今回はここまでです。

記事のポイント!

  • 子どもを外の世界へ正しくつないであげることを意識する
  • 子どもが外の世界とつながるうえで、役に立つコミュニケーション
  • 外の世界を知るからこそ、自分を知るようになる

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