小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

子どもがSOSを出せることのメリット

2022/02/06
#子どもがSOSを出せることのメリット #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【子どもがSOSを出せることのメリット】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。

今回は、子どもがSOSを出せることのメリットについてお話ししたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

SOSを出せるからこそ、成長する

あなたは、困った時にSOSを出すことは得意ですか、それとも苦手ですか?少年時代の僕は、SOSを出すのは苦手だったかもしれません。というよりも、子どもはたいていそうです。そうすると、自分だけで困難を解決しなければならない状況に自分を追い込んでしまいます。

大人になったあなたは今、もしも困ったら、誰かに助けを求めることがある程度できるようになっていると思います。それは、他人に助けを求めていいということを学んだからです。そして、誰かに助けを求めて、誰かがあなたを助けてくれて、あなたが助かってホッとした経験があるからこそ、あなたは誰かに助けを求めることができるようになりました。

つまりあなたは、助けを求めて、その結果不安が解消されるという経験を積んでいるはずです。そうやって、SOSを出すことができるように成長したのです。

SOSを出せずに抱える生きづらさ

実は子どもの発達において、このSOSを出せるスキルが身に付いているか否かはとても重要な点です。SOSを出さなくても、様々な困難を自分で乗り越えられるだけの力が備わっていればいいのですが、子どもはまだまだそんな力を備えていません。では逆に、子どもがSOSを出せないと、どんな状況になるんでしょう。

例えば子どもが、黒板の文字をノートに写して書くという板書が苦手だったとしましょう。授業の度に板書が苦手で、先生の話よりも板書することに必死になってしまいます。その結果、先生の話もろくに聞けなくなってしまう。そんな状況の時に、先生から質問をされたけれど、質問の内容すら頭に入っておらず答えられなかった。そして、先生に話をしっかり聞くように注意されてしまう。

そんな学校生活を終えて自宅に帰ると、今度は、連絡帳に書いてある内容について、親からその子に尋ねてもチンプンカンプン。そこでもまた、先生の言っていることをちゃんと聞きなさいと叱られてしまう。板書を書くために必死に頑張っていても、周りから色々な注意を受けてしまう。こんな生活を繰り返していると、子どもの心はふさがっていきます。

板書が苦手ということがきっかけで、次第に学校へ行くのが億劫になっていくのです。板書が苦手なんですとSOSを出せれば、こういった展開はなくなります。でも実は、こういった子どもは珍しくありません。

子どもがSOSを出させる関わり

ではもしも、この子どもがSOSを出せると、生活はどんな風に変わるでしょうか。「できない」あるいは「助けて」という短い言葉だけでも使えるようになると、「なになに、どうしたの?」という先生や親の気づきにつながります。子どものSOSにより、子どもの困難に早く気づけるようになる。そして、子どもが一方的に注意される事態がなくなるのです。

このように、子どもが簡単なSOSを出せることで、あらゆる物事がその子なりの環境に調整できるようになります。では、子どもがSOSを出せるようになるには、どうしたらいいでしょう。それは、困っていることの認識とSOSの発信について、その子に代わって周りの大人がやってみせるということから始まります。

例えば食事をする時に、子どもの席に食事に必要なスプーンがなかったとします。そんな時に、「スプーンがないと食べられないよね」という困った状況を親が子どもに説明してあげます。そうやって、そっと困っていることを認識させてあげる。そして「スプーンが欲しいで〜す」と親が微笑みながら言葉に出してあげる。そうやって、親が子どもの代わりにSOSを発信してみる。

このように、「助けて欲しいのね」「困ったのね」、そういった親から子どもへの言葉がけが大切です。そうやって、子どもに「自分は困っている」と認識させてあげること。そして、「困ってま〜す」と微笑みながら代わりにSOSを言ってあげる。困っていることの認識とSOSの発信を周りの大人が代わりにやってみせることで、子どもがSOSを発信する一連の流れを自然に身につけることができます。そうすると子ども自身も、少しずつSOSを出せるようになります。

大切な家庭

しかも、この練習には大切なポイントがあります。それは、必ず安心できる親が身近にいながら、簡単なSOSから練習をするということです。安心感を抱けるシチュエーションで、少しずつSOSの練習を行うということなのです。

家庭から離れた外の世界は、子どもにとって不安が高まる環境です。そんな不安がある場面でSOSを出す練習をするよりも、まずは家庭という安心できる環境でSOSを出す練習をする。それが欠かせません。安心した環境でSOSを出せるようになって、徐々に外の環境でもSOSを出せるようになっていく。子どものあらゆる行動の練習の基本は、家庭にあるのです。

実は、大人になってもSOSを出すことが苦手な人がいます。そういった人と行動する時には、僕の方があえてその人の気持ちを言葉に出して言ってみます。「ここがちょっと難しかったよね」、そうやってその人の気持ちをあえて言葉に出す。そして一緒にやってみる。そういったことを繰り返すことによって、SOSを出しにくい大人の行動も改善していきます。

すべては、子どもの頃の経験にある。小児科医として大人の社会で生きるようになって、子どもの頃の関わってもらうことの大切さを身にしみて感じています。

今回はここまでです。

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記事のポイント!

  • SOSを出せるからこそ、成長する
  • SOSを出せるように子どもを導く
  • SOSの練習は家庭で

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