子どもの「生きる」を考える
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小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

兄弟姉妹のストレスとの付き合い方

2022/01/25
#ストレスとの付き合い方 #兄弟 #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【兄弟姉妹のストレスとの付き合い方】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。

今回は、一般的な兄弟姉妹のストレスとの付き合い方についてお話ししたいと思います。兄弟姉妹というと長いので、単に兄弟と表現します。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

兄弟は違う?

皆さんには、兄弟はいますか?いるとしたら、性格はどうですか?皆、似ていますか?兄弟は皆、性格がバラバラと答える方がほとんどでしょう。

これまでに、兄弟についての研究はいくつもあります。ただ、兄弟の特徴を研究しようとすると、間接的な影響が多く評価が難しいことも指摘されることがあります。

例えば、兄弟ごとに友人関係や学校での経験は違います。子どもとして、様々な影響を受けながら成長するのですから、そこに法則を見出すことは難しいかもしれません。

でも、子どもの発達にとって、親から子どもへの関わりが重要なことはわかっています。現に、小児科医として、親から子どもへの関わりによって、子どもの発達が大きく異なることを実感しています。

その親から子どもへの関わりを考えると、長男・長女は、親の関わりを一身に受けることができます。そして、次男・次女は、長男・長女がいる中で、親からの関わりを受ける。

兄弟の出生順序によって、親から子どもへの関わり方に違いが生じるとすると、兄弟の心の発達に何かしらの違いが出ても不思議ではありません。

兄弟の違いの報告

例えば、兄弟の出生順序と社会的な地位について、こんな報告があります。早く生まれるほど、社会的地位や学歴が高い という報告です。

また、知的レベルについても、生まれてくる順序による違いが報告されています。生まれてくる順番が早い子どもほど、IQが高いことが報告されているのです。

また、兄弟の性格については、こんな報告があります。長男・長女は、誠実な心を獲得する。次男・次女は、人あたりのよさを獲得する。

一方、兄弟の関係はどうでしょうか?そこには、性別も影響します。女性同士の姉妹は、男性同士の兄弟に比べて、お互いの親密さを早くに獲得すると言われています。

どうでしょうか?身の回りの兄弟を見て、当てはまりますか?こういった兄弟の違いについて、僕は小児科医としての経験を通して、やはり親から子どもへの関わりが大きく影響すると感じています。

兄弟への関わりの違い

そこには、育った文化的背景ももちろん関係しているでしょう。育った環境によっては、生まれた順序によって、親に関わってもらうことに差が生まれる環境もたしかにありました。

例えば、長男・長女は親といっしょにご飯を食べられるけれど、その他の兄弟はそうではない。長男・長女は親といる時間が長いけれど、そのほかの兄弟は親以外の人に面倒をみてもらう。

そういった、今では特殊と思われるような環境で子どもを育てることもありました。そういった時の関わりの質によって、子どもの発達は大きく異なります。

今では、そういった大きく偏った親の関わりが生まれることはないかもしれません。でも、やはり親から子どもへの関わりに、兄弟間で差が出ないように注意したいと思います。

兄弟のストレスを解消するための関わり

特にそれは、ストレスを解消することに大きく関わります。子どもはストレスを感じた時に、親との関わりによって、そのストレスを解消しようとします。

兄弟という立場のそれぞれの子どもも、同様です。生活する中で感じたストレスを、親との関わりの中で解消しています。何もないかのように生活している中でも、それを繰り返しているのです。

そういったことを考慮すると、長男であろうと、次男であろうと、どちらかへの関わりが増える事態が生じた際には、もう片方への関わりを注意する必要があります。

例えば、兄に問題行動があり、弟がお利口さんに生活していたとします。親が兄への対応につきっきりで、弟に構うことができずにいた場合に、どうなるでしょうか。

他の家族が協力することなく、弟への関わりが薄い状態が続くと、その時は何もなくうまく生活しているように見える弟も、成長した後に問題行動を起こすことも少なくありません。

子どもは一人ひとり、親の関わりを必要としているからです。手をかけなくてもうまく成長しているように見えている場合こそ、注意が必要です。

その時には、問題がないかのように見えても、親に構ってもらえなかったツケが、後々になって現れてくるからです。そんなケースでは、あんなにお利口さんだったのに、どうしてこんな問題を起こすのかと驚かれる場合が少なくありません。

兄弟それぞれに関わる

ですから、明らかな問題行動に発展する前に、親が兄弟それぞれに関わるということを大事にする。そうやって日々のストレスを、毎回毎回細かく解消していく。

このことは、兄弟自身の発達だけによい影響を及ぼすだけでなく、その後の兄弟同士の関係にとってもよい影響を与えます。兄弟は皆、親の愛を求めているのです。

今回はここまでです。

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記事のポイント!

  • 兄弟の違いを生む、親の関わりの違い
  • 兄弟のストレス解消には、やはり親の関わりが必要
  • 兄弟それぞれへの関わりを大切に

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