記事【自分の心を感じる力】
絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。
今回は、自分の心を感じる力について、考えたいと思います。
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
感情で変化する心
自分の心を感じるとは、自分の心の動きを自分で把握するということです。自分自身を俯瞰する、あるいは、自分自身を第三者目線で客観視するとも言えるかもしれません。
小児科医として子どもやその親御さんと接する時に、僕が心がけていること。それがこの、自分の心を感じるということです。
それは、どんな感情が自分の中にあったとしても、子どもの心をよい方向へもっていきたいからです。そうやって、自分のパフォーマンスを維持するために、必要不可欠なのです。
人は、感情の起伏が起きると、普段できていたことができなくなってしまうことがあります。例えば、こんなことを耳にしたことはないでしょうか?
嬉しいこと、あるいは怒ることがあった時に、普段しないようなミスをしてしまった。普段はミスをしないようなことでも、感情が変化しているだけで、人のパフォーマンスは影響を受けてしまいます。
心の平静
小児科医として関わる医療現場には、生命の誕生や、生命の最期に立ち会うこともあれば、病気や障がいを告知する場面もあります。
そんな医療現場には、喜びや悲しみが溢れています。感情の起伏がつきものなのです。一方で、医療現場には判断が求められる場面も少なくありません。治療や支援の判断です。
その判断を、正しく行うために必要なもの。それが、心の平静です。心の平静を保った状態で物事の判断をしたい。そうするためには、自分の心を理解しなければなりません。
そしてそれは、会議でも同じです。会議で色々な意見を出し合います。そういったシチュエーションで、自分の意見と正反対の意見がある時に、抵抗を感じる人もいるはずです。
つまり、心の平静がやや乱れるということです。でも心の平静が乱れては、会議で自分の主張をしっかり伝えることができなくなることも少なくありません。
ですから、会議全体の様子や自分の心の状態を俯瞰的に捉えながら、話し合いに参加する。そうすることで、心の平静を保ちながら、有意義な話し合いを展開できるものです。
心の鏡の法則
ここまで、物事の判断には心の平静が必要であること、そのためには、自分の心を理解する必要があることに触れました。
そしてここからは、自分の心を感じることが、子どもに接するうえで大切であることに触れたいと思います。しかも、心の鏡の法則を意識することが欠かせないことをお話しします。
子どもの心の状態が、その子どもに接している自分にうつる。あるいは、自分の心の状態が、自分が接している子どもにうつる。心というのは、そういった鏡のような性質があります。
子どもがソワソワ落ち着かなければ、その子どもをみている自分の方もソワソワする。逆に、自分がソワソワしていたら、自分をみている子どももソワソワするということです。
患者さんと医師に起きていること
そうなると、自分の向き合い方によって、自分が接している子どもの治療も左右されてしまう。そんなことが、実際の現場では起こります。
患者さんにも、医師にも、それぞれ人と接する時の心のマネージメントにクセがあるものです。心が不安定な患者さんに影響を受け、不安定な判断をする医師。あるいは、心が不安定な医師に接して、心の状態がさらに不安定になる患者さん。
色々な患者さんや医師を見る中で、そのことを強く感じるようになりました。ですから、子どもの心を安定させようと思う時こそ、自分の心の変化に敏感になります。
子どもの純粋な心
「今、自分はイライラした感情が湧いたかもしれない」「今、ふと気が楽になった」、「自分の心は、今相手の影響を受けていないか?」。そんなことを考えながら、頭の中では攻防戦を繰り返しています。
でも、そんな攻防戦を繰り返しているからこそ、気づかされるのは、子どもたちの純粋な心です。幼い年齢であればあるほど、こちらが予想する通りの反応が、子どもたちから返ってきます。
だからこそ、親の行動が子どもたちに強く影響していることを実感するのです。これだけ素直な反応をする子どもなのだから、毎日親の影響を受けて心が変化し続けているのだろうと察するのです。
ぜひ、自分の心の変化を気にしてみてください。そして、自分の心に、鏡のように反応する子どもたちの心も感じとっていただけたら嬉しいです。
今回はここまでです。
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記事のポイント!
- 感情は判断に影響する
- お互いの心は、鏡のよう
- 子どもに接する際には、心を感じる
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