記事【アイデアの生み出し方】
絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。
今回は、アイデアの生み出し方についてお話ししたいと思います。
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
過去の自分と、今の自分
皆さんは、普段どんな時に創作をしますか?つまり、新しいアイデアを生み出そうとするのは、どんな時ですか?どんな時でも、ポンポンとアイデアは出てくるよ、という方もいるかもしれません。でも、どんな人も、過去の自分のアイデアを振り返って、何かを感じるものです。
例えば、「あれ?なんでこんなアイデアを思いついたんだろう?」あるいは「我ながら、よくぞこのアイデアを思いついたな」と、過去の自分のアイデアを、客観的に評価する自分がいるものです。つまり、アイデアを思いついた過去の自分と、今の自分とでは何かが違うということです。
僕がアイデアを生み出す時によく利用するのは、自分の中にある、こういった変化です。もう少し突き詰めると、そこに関係するのは、人の身体が持っている恒常性というものです。
人の恒常性という機能を意識してアイデアを生み出そうとすると、人生が豊かになる。今回は、そんなお話をしたいと思います。
恒常性
恒常性とは、身体の状態を一定に保とうとする性質のことです。人の身体は生き続けるために、なるべく身体を一定の状態に保とうとします。
そのために、身体の中にあるたくさんの神経やホルモンが関わって、様々な機能を活性化したり、抑制したりして、バランスを保っています。活性化というのは、活発に活動するということです。抑制というのは、活動を抑えるということです。
例えば、人が怒るという現象を考えてみましょう。怒りがずっと続いていたのでは、身体が疲れてしまいます。そのため、様々な神経やホルモンが働いて、怒りを静めようとします。そうやって、身体が疲れすぎないように、一定のバランスに維持しようとする働きが自動的に生まれます。
あるいは、睡眠によって身体を休めることを考えてみましょう。脳や身体はずっと働き続けると、疲れて精神的にダウンしてしまいます。ですから、夜間には眠気のホルモンが出て、脳も身体も休めるようになります。でも朝になると、その眠気もとれて、再び活動できる状態になるのです。
このように人の身体は、常に変わり続けながらも、常に一定の状態を保とうとするのです。ある時は活性化、ある時は抑制という具合に、身体の中の神経やホルモンが調整してくれています。
アイデアを生み出すパターン
そういった、人の恒常性を理解したうえで、アイデアを生み出すということを考えたいと思います。アイデアを生み出すという行為には、二通りあります。意識的にアイデアを作り出すパターンと、無意識のうちにアイデアが生まれるパターンです。
意識的にアイデアを生み出すことは、いつでも可能です。いいアイデアかどうかは別にして、意識的に考えればいいのですから、無理矢理にでもアイデアを作り出せます。
でも、無意識のうちにアイデアが生まれることは、無理矢理アイデアを生み出すのとは少し異なります。スウっと、無意識の世界からアイデアが出てきます。
しかもタイミングに、特徴があります。それは、脳が活性化した後に抑制がかかって、しばらくした状態の時です。つまり、ホッとして、気持ちに余裕が出てきた時です。
脳が活性化して色々と考えを巡らせている時には、その活動の意識が優位に立ちます。その時には、無意識の世界におさまっているものは、無意識の世界にとどまります。
でも、そんな無意識の世界は、脳が休まって少し余裕がでるタイミングに、スウっと現れます。その時の、無意識の世界から出るアイデアは、自分の個性がにじみ出たアイデアであることが多い。
心を豊かにできる
ですから、僕自身は、活性化した脳が休まって、少し余裕が出てきたタイミングを楽しみます。それが、自分では意識できていない自分と触れる瞬間です。朝目覚めた時、お風呂でゆっくり休んだ時など、頭を使うことを休めて、しばらくした時。そんな時をねらって創作活動をしています。
逆に、会議で話し合いをした後の、頭が疲れている時に生まれたアイデアには、少し注意します。その時に「いいアイデアができた」と思っても、後から振り返ってみると、「なんでこんなつまらないアイデアを、いいと思ったんだろう?」と感じることが多いからです。
こんな風に、身体の状態を一定に保とうとする恒常性を利用すると、自分のアイデアや気持ちなどをあやつる生活ができます。すると、自分の心を豊かな方向に向けることが可能になります。子育てにおける気持ちの持っていき方にも、ぜひ、身体の恒常性を利用してみてください。
今回はここまでです。
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記事のポイント!
- 恒常性を利用する
- 無意識に生まれるアイデアがある
- 活性化した脳が休まったタイミングがチャンス
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