子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

キレるこどもへの対処法

2022/01/15
#キレる #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【キレるこども】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。今回は、キレる子どもへの対処法についてお話ししたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

心の余裕のなさ

皆さんは、誰かに対してキレたことはありますか?あるいは、怒りの感情が湧きやすくなったことがありますか?人は生きていれば、怒りの感情が沸くようにできています。それは、人が生きるために身につけた術でもあります。

人が怒る前には、ある状態があります。それは、心の余裕のない状態です。人は心に余裕がなくなると、怒りという感情が湧いて、自分を奮い立たせます。人は、そういう仕組みを手に入れたことで、何代にもわたって生き続けられることができました。

ですから、怒る、あるいはキレることは仕方のないことです。でもそれは、ある方法で和らげることができます。それは、心の余裕を準備するということです。

見通しをもつ

どうやって、心の余裕を準備するか。それは、あらかじめ見通しを教えてあげる生活をするということです。「今日は習い事がある日だね」「ここから30分歩くと、山頂に着くね」「今日は暑くなりそうだね」。日頃からそんな見通しをあらかじめ子どもと共有しておき、見通しをもってもらうこと。それは、子どもの心の余裕を生み出すうえで、欠かせません。

職場でも同じです。忙しい中で、急に新たな仕事を依頼されたら、心に余裕がなくなり、怒りの感情が沸くこともあると思います。でも、それらの仕事には終わりがあって、仕事が終わったら、楽しいイベントが待っている、と見通しがわかっていると、心の余裕ができるものです。

ここまで、見通しをもつことの大切さをお話ししました。

キレることが伝染する

次に、キレることが伝染することについて、触れたいと思います。親がキレれば、子どももキレる。子どもがキレれば、親もキレる。つまり、感情は伝染するということです。これは、人の心理的な性質なので、仕方ありません。人は余裕のないものを見ると、自分の心の余裕まで失ってしまう。そういう生き物なのです。

でも、これも対処法があります。それは、キレることが伝染することを理解したうえで、子どもと接するということです。子どもがキレたら、自分にも怒りが伝染することを意識しておきます。そうやって、自分の感情をコントロールするのです。

これは実は医療現場で、僕自身がよく使っている方法です。医療現場は感情が入り乱れる空間です。喜びの感情ばかりであればありがたいのですが、そうもうまくはいきません。辛いことを患者さんに伝えないといけないこともあります。すると、患者さんの悲しみや怒りの感情が出てくるものです。

それを医師が、心の準備をすることなく、すべてを受け止めていたら、医師の方が心の病気になります。ですから、医師の側としては、感情が伝染しないように心の平静を保とうとします。患者さんの感情が伝染せずに心の平静を保てるからこそ、医師が正しい判断をできるようになるのです。

子どもとの対話でも、同じです。キレた子どもの感情をもらって、親の心の平静が失われてしまっては、正しい判断ができなくなる。つまり、正しい教育ができなくなるということです。子どもの教育には、必ず親の心の平静が必要です。

そして感情は伝染すると説明した通り、キレた子どもに対して、親もキレてしまっては、その親の怒りの感情が、また子どもに伝染していきます。逆に親が心の平静を保てば、子どもに心の平静の状態がうつり、怒りの感情はおさまりやすくなるのです。

キレた子どもには、心の平静を保った親。これが一番の薬です。それは、職場でも同じです。一人でも、心の平静を保った職員がいると、その状態は他の職員へも伝染します。心の平静を保てる職員がいることは、その職場の秩序をコントロールする効果があるのです。そのことを上司が理解しているかどうかで、職場の運営は変わります。

今回はここまでです。

記事のポイント!

  • 心の余裕のなさ
  • 見通しをもつ
  • キレることが伝染する

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