小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

エリクソンの発達段階:はじめに

2021/12/19

記事【エリクソンの発達段階:はじめに】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。今回は、「エリクソンの発達段階」というものをご紹介します。これは、子どもが各人生のステージでどんな事を獲得するべきで、それを獲得できないと、どんな子どもの心が育つのかということを教えてくれるものです。

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

どうして紹介するのか

どうして、この発達段階をご紹介するのか。それは、これを知っておくと、子どもの心を育てる上でとても便利だからです。知らないなんて、もったいない。そんな風に思うからです。

「エリクソンの発達段階」では、このぐらいの年齢であれば、こういった課題をクリアしておくと良いでですよ、という子育ての目標を教えてくれます。そして、もう一つ。その課題をクリアできなかったら、こんな生きづらさを経験することになりますよ、という子どもに生じうる生きづらさまで教えてくれるのです。

例えば、ボクが小児科医の立場で子どもを診るとき、「エリクソンの発達段階」に照らし合わせて、親御さんにアドバイスをすることがあります。今の年齢ではこんな関わりを大事にしてくださいね、と親御さんに助言をするのです。

どうして、ボクが親御さんにそうやってアドバイスするのでしょうか。それは、その課題をクリアできないことで生まれる子どもの生きづらさが、どれほど子どもを苦しめるのかを、小児科医として知っているからです。

子育ての現実

そして、親御さんにあらかじめアドバイスをするもう一つの理由があります。それは、子育ては後戻りできるものではないからです。

子どもの心が発達するためには、必要な時の必要な関わりというものがあります。子どもにこんな関わりをしておけばよかったと思ったその時には、もうその時期を逸していることが多いのです。

例えば、生きづらさを抱えた中学生がボクの外来にやってきてくれます。その生きづらさの様子から、幼少期の関わりに原因があるのだろうと推測できます。でも、その時にできるのは推測であって、生きづらさを完全に克服する治療ではありません。

そして、費やすエネルギーも違います。親子の信頼関係を獲得するということであっても、幼少期の適切な時期に信頼関係の獲得を目指すのと、後々になってその獲得を目指すのとでは、そこに費やすエネルギーが全く違うのです。

このように、子育ては、もう一度過去にさかのぼってきれいさっぱりやり直しができるというものではありません。だからこそ、将来子どもにこうあってほしいという目標に向かって、子どもの幼い頃から着々と準備を進めるということが欠かせません。将来このような生きづらさを抱えないように、今のこの時期には、こういった関わりをしようという、将来に向けた対策が大切なのです。

子育ての性質

「エリクソンの発達段階」を理解いただく上で知っていただきたいことがあります。それは、子育ての成果はすぐには現れない、ジワジワ後になって現れる、ということです。

その場ですぐに成果が得られる物事は、その成果を得ようとするモチベーションも高くなり、どんどん良い成果を生み出せます。

一方で、子育ての成果は、たいていジワジワと後になって現れるものです。だからこそ、親は、今おこなっている子どもへのこの関わりが正しいのか、間違っているのか、判断できないことも少なくありません。自分の子どもへの関わりが正しいのか、自信がもてないことは珍しくないのです。

だからこそ、子育てをする上で不安はつきものです。子どもがどのように育っていくのかわからない。そういった漠然とした不安もあるものです。

子育ての見通し

「エリクソンの発達段階」を知っておくことによって、子育ての見通しを理解してもらいたいと思います。子どもがこの年齢では、どんな課題をクリアさせてあげればよいのか。それによって得られる成果は何なのか。そういった子育ての見通しを理解できることで、子育てにも自信をもって取り組めるようになります。

今回は、どうして僕が「エリクソンの発達段階」をご紹介したいのか、という内容で終了します。次回から、その具体的な内容をお話ししたいと思います。でも実は、内容そのものよりも、子どもへの関わりに意識を向けることこそが最も大切なことと思っています。ですから今回は、最も大切な、どうして子どもの発達段階に着目してもらいたいかをお話ししました。

記事のポイント!

  • エリクソンの発達段階で、子育ての見通しを知る
  • 子育ての効果は、後になってあらわれる
  • 子どもに関わることで、子どもの心は発達する

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