子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

「なんで、幼稚園に行かないの!」発言のヤバさ

2021/12/09

記事【「なんで、幼稚園に行かないの!」発言のヤバさ】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。小児科医として子どもたちに関わっていると、幼稚園に行きたがらない子どもたちのお話をよく耳にします。そしてそんな時に、親が子どもに向かってついつい口にしてしまう言葉。それが、「なんで、幼稚園に行かないの!」です。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

不安があるから、行動できない

今回は、子どもが求める助けへの気づきと、それに対する親の関わり方、について触れていきます。そして、「なんで、幼稚園に行かないの!」という発言の誤りをお話ししたいと思います。これは、幼稚園に限らず、小学校・中学校のケースにも通じることです。

人は、慣れない物事があると、不安を抱くものです。仕事で初対面の人にプレゼンテーションをするときや、見たことのない物を操作するときなど、色々な場面で不安を感じます。

人が不安を感じると、怒りや焦りの感情も出るものです。不安があるのに、嬉しい感情が起きる人はまずいません。

その不安は、人の行動に影響します。普段はできていた物事も、できなくなってしまうのです。例えば、取引先との仕事に対する不安があることで、普段は忘れないものでも忘れてしまう。そういった現象が起きます。

そしてそれは、子どもも同じです。子どもは、もちろん社会経験が未熟です。生活の中で経験する物事には、初めて経験することが少なくありません。そうやって子どもにとって慣れない物事があるからこそ、子どもは不安を感じます。

不安を感じるからこそ、怒りや焦りの感情が現れます。だから、不安がなければできるであろう物事にも支障が出るのです。幼稚園の登園もその一つです。

二つの大きな誤り

冒頭でお話しした、子どもが幼稚園に行きたがらないという出来事を考えてみましょう。幼稚園が楽しければ、もちろん子どもは幼稚園に行きます。何か不安があるからこそ、幼稚園に行くことができなくなってしまうんです。

それは、仲良く遊べないお友達がいるというケースもあるでしょうし、先生が怖いというケースもあるでしょう。そういった様々な不安を抱えるからこそ、幼稚園に行くことが嫌になってしまうのです。

そんな不安のカラクリを理解しないまま、「なんで、幼稚園に行かないの!」と子どもを叱ることは、二つの意味で大きな誤りです。

一つ目は、子どもが助けを求めていることに気づけていない点。

二つ目は、助けを求めている子どもを受け入れずに、跳ね除けてしまっている点です。

①気づけない

一つ目の「子どもが助けを求めていることへの気づき」について考えてみましょう。

自分と相手の二人がいる場合、心というのは不思議な鏡のようなものです。それは、相手がイライラしていれば、それを見ているこちらもイライラしてしまう。相手がニコニコしていれば、それを見ているこちらもニコニコしてしまう。お互いの心は、そんな鏡の関係にあります。

親子の関係も同様です。子どもが不安を抱く場面では、それを見ている親も不安を抱くものです。子どもがイライラしていれば、親もイライラするのです。

子どもが登園したくないとイライラしていれば、親の心もイライラしてしまいます。そうやって、親の心が乱れてしまうと、子どもが助けを求めていることに気づけなくなってしまうものです。

ですから、親子の心は鏡のようなもので、子どもの心が乱れれば、親の心もそうなってしまうと理解してください。そして、子どもの心が乱れている時こそ、乱れた子どもの心に影響されることなく、子どもが助けを求めていることに気づこうとする姿勢を大事にしてください。

そうやって、子どもが助けを求めていることに気づくことで、関わりの工夫を始められるからです。

②受け入れない

二つ目の「助けを求めている子どもを受け入れること」について考えてみましょう。

世の中には、「愛着」という言葉があります。「愛着」とは、子どもが不安を感じたときに、その不安を取り除いてもらい安心感を得ようと、子どもが親などに触れ合おうとすることです。

子どもは、不安を感じた時に、親に近寄り、親に関わってもらいながら、その不安を取り除こうとします。不安があり幼稚園に行けない時も、親に近寄り自分に関わってもらうことで、どうにかその不安を解消しようとするのです。

そういったことを理解すると、幼稚園での不安を解消しようと近寄ってきてくれた子どもに対して、「なんで、幼稚園に行かないの!」と跳ね除けてしまうことが、何の解決にもつながらないと理解できます。

「なんで、幼稚園に行かないの!」という言葉は、不安を解消しないばかりか、困難に出くわし不安を抱えている子どもを、さらに強制的に困難な状況へ追い詰めてしまうことになります。

不安を改善したいのに、さらに不安な状況にさらされる子どもは、どうなるでしょうか。ますます不安が高まり、パニックになってしまいます。

解決方法

では、こんな幼稚園に行きたがらない子どもには、どう接したらよいでしょうか。それは、子どもと触れ合うということです。そっと「だいじょうぶ」と声をかけて、そっと体を抱きしめてあげたり、体に触れてあげることです。しかも、そういった体験を何度も経験させてあげるのです。

そうやって子どもに、「親に受け入れてもらった」という経験を積ませてあげることが何よりも大切です。「不安があっても、受け入れてくれる親がいるんだ」、そんな安心感を子どもに抱いてもらうことこそが大切なのです。

幼稚園に行きたがらない子どもに、「幼稚園に行け」と跳ね除けるのではなく、いったん受け入れてあげること。そうやって子どもを受け入れてあげることで、幼稚園に行けるようになります。子どもは心の中に親を感じながら、幼稚園という外の世界で生きようとするのです。

社会で生きる上で不安はつきものです。幼稚園などの外の環境では、不安を抱くことが当たり前です。親との関わりの安心感で、そんな不安を解消してあげてください。子どもが困難を抱えた時ほど、乱れた子どもの心に影響されることなく、子どもをしっかり受け入れてあげてください。

そうやって子どもは、一つひとつの物事を克服して経験に変えていくのです。

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記事のポイント!

  • 親子の心の鏡を理解し、乱れた子どもの心に影響されない
  • 子どもが助けを求めていることに、気づく
  • 助けを求める子どもを、いったん受け入れる

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