子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が知っている子どもの食事で最も大切なもの

2023/05/17

記事【小児科医が知っている子どもの食事で最も大切なもの】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は「小児科医が知っている子どもの食事で最も大切なもの」というテーマでお話ししたいと思います。

あなたは食事をすることは好きですか?どんな食事をするか、それはその人の人生観にもよりますよね。病気になってもいいから、甘いものも辛いものもたくさん食べて楽しみたい、そんな人もいるでしょう。お酒もいっぱい飲んで、その時を楽しめればいい、そういう考えの方もいると思います。

人生は一度きりだし、その人が納得できるのであれば、その人の好きなようにしてもらいのがいい。そんな風に思います。でもそれは、自分の体に責任が持てる「その人自身」についてのことですね。

一方で、栄養というものがどれほど身体に影響を与えるのかを実感できない子どもたちに対して、大人と同じように「好きなようにどうぞ」というわけにはいきません。子どもたちが大人になって、自分の身体に責任を持てるようになったら「お好きにどうぞ」ですが、子どものうちには大人が配慮してあげたいものです。

あなたは、子どもたちに食事を提供する時に、何を大切にしていますか?

よく、健康的な食習慣は、「バランスのいい食事」とか、「しっかり水分をとる」とか、「規則正しい、決まった時間の食事」、そんなフレーズを耳にします。

もちろん、バランスの良い食事は大切ですよね。肉・魚・大豆などのたんぱく質、米・パンなどの炭水化物、それに野菜と果物、どれも揃っていたら最高ですね。

それに、水分補給も欠かせないですね。夜は寝ているうちに汗をかきます。朝方起きた頃には、体は水分を欲しているものです。だから、特に朝に水分を摂取することが欠かせないですね。

定期的な食事の時間というのも大切ですね。規則正しい食事の時間を設けることは、体内時計(サーカディアンリズム)を整え、健康を維持するのに役立ちます。

話が少し脱線しますが、食事について今でも懐かしいなあと思うエピソードがあります。それは、僕が留学していた頃の食事です。海外の病院で研修をしていた時に、毎朝早くに病院の一階の広間でレクチャーをやってくれていたんですね。

毎朝そこに行くと、コーヒーや紅茶が用意されていて、パンやフルーツも揃っているんです。とっても甘くていい香りが漂っているんです。学生や若い医師はみんな、それらを食べながらレクチャーを聴くんですね。それは、朝のほっとできるひとときでした。

ちょっと話がそれましたが、バランスのいい、規則正しい食習慣を守ることで、心と体の健康を維持することが可能になりますよね。

そんな風に食事って大切ですけど、僕が小児科医をするようになって、食事を摂取できない子どもたちがどんな風に変わっていくのかを知るようになって、あらためて栄養の大切さを理解するようになりました。

この世の中には、心や身体の病気で食事を摂れない子どもたちがいます。そういった子どもたちの身体の中では、着実に色々なものが変化していってしまいます。特に注目したいのが、脳の変化です。栄養を十分にとらないと、脳が痩せていくんです。脳が痩せると、正しい判断ができなくなるんです。

そんな経験をして、栄養を取らないと思考力が鈍るというのは本当なんだと思い知るわけです。すると理解するのは、糖分が少ないことでイライラするというメカニズムだったり、栄養不足による身体の反応は、身体が健康を保つために知らせてくれるサインなんだということです。身体は本当に良くできているなあと思います。

ここまで食事の大切さをお話ししましたが、そんな食事をしっかり食べるために、一番最初に大切にしたいことはなんだと思いますか?小児科医として色々な子どもたちを見てきた僕には、「子どもたちが栄養をしっかり摂るためにも、まずは根本的に大切なものがある」と思っています。なんだと思いますか?

それは、食事の時の楽しい雰囲気です。家族の笑顔だったり、明るい会話です。そういったエッセンスが凝縮した食事だからこそ、子どもたちの食欲が増して、心も体もリフレッシュできる。食事も美味しくなる。そう本気で思っています。

例えば、お金持ちの家庭で、子どもの前に色々な種類の食材が並んでいたとして、それで十分でしょうか?そこに、働き疲れた親の姿があったり、そもそも既に仕事に出かけて親の姿すら無かったら、どうでしょう。子どもの心は健康には育ちません。

塾にばかりお金をかけて、進学校に入れるだけ入れて、それだけで子どもがハッピーになるかといったら、大間違いです。これまでに、進学校と言われる学校に入学後不登校になった子どもたちを何人も見てきました。頭が賢くなるためにはバランスのいい食事を摂ること。それは理解していても、その前に大切な親の笑顔を理解されていない親御さんは、やっぱりいます。

バランスの良い食事や、水分や、定期的な規則正しい食習慣は確かに大切です。でも、そこに親御さんの笑顔がなかったら、その食事が台無しになってしまいます。

子どもの心と食事は密接に関連しています。食事の時間は、感情を共有し、コミュニケーションをとる機会でもあります。落ち着いた食事の時間は、子どもの感情的安定に寄与します。笑顔の中で食事を楽しむことは、食に対する健康的な態度を育てることにもつながります。

今日は「小児科医が知っている子どもの食事で最も大切なもの」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ、

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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