子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

今大人がやるべきこと

2022/06/18

記事【今大人がやるべきこと】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#今大人がやるべきこと #子育て #小児科医 #湯浅正太

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は早速コメントをご紹介したいと思います。

まずは、ラジオネーム「micmicmic(ミックミックミック)」さん。先日の放送「毒親を乗り越えるためには」に対するコメントですね。どうもありがとうございます。コメントの一部を紹介させていただきますね。

「毒親!私の母親もしんどかったですね。何故私の母親は頭がオカシイノカ?何故こんなにもしんどいのか?」

どうもありがとうございます。子どもが毒親について、「親の行動がおかしい」と思えるのは、色々な経験を積んだ後ですね。子どもが色々な外の世界を経験してようやく、「自分の親はおかしいぞ」と気づくようになるのです。

でも、そうやって気づくまでには、子どもは、親の行動を当たり前のものとして受け入れようとしてしまいます。置かれている環境を受け入れようとする、ということです。だって、その環境を否定することは、そういった環境に生まれてきた自分の存在を否定することにつながるからです。そのために、生まれた環境を受け入れよう、親を受け入れようとするのですね。

そうは言っても、子どもは成長するとともに、色々な人を知るようになります。友達の親御さんを知る。先生という大人を知る。そして、自分が大人になる。そうやって、色々な大人を知って、自分が大人になって、ようやく「自分の親はおかしい」と確信をもつようになります。「毒親」と確信する時期は色々かもしれませんが、外の世界を知ることでそう確信するようになるのですね。

そうやって「自分の親がおかしい」と確信することで、子ども自身には葛藤が生まれます。「自分は親の行動をどうして我慢してきたのか」「我慢してきた自分がバカバカしい」、そういった怒りや悔しさや悲しみが生まれるものです。そういった陰性感情が子どもたちの心の中に生まれるのですね。

でも、です。「毒親」というのは、その正体がわかっていない、なんだか漠然とした困った存在のようなものです。それは、あやふやな捉え方なのです。そんなわかったような、でもその正体がわかっていない状態に振り回されるのはもったいないのですね。

「毒親」に対する葛藤には、さらにその先があります。実は、小児科医としての毒親の見方は、「毒親」では終わりません。小児科医からみた「毒親」の見方は、精神疾患をもった親、あるいは、恵まれない養育環境で育っている親であることが少なくないのです。

そういったことを理解すると、「毒親」に対する怒りを通り越して、同情にも似た感情を抱くことがあります。もちろん、毒親の元で育った子どもは、たまったものじゃありません。色々な陰性感情を抑えながら、必死に毒親を受け入れようとしてきたであろう過去が想像できます。その子どもはやはり可哀想。最も守られるべき存在は、やはり子どもです。

そういった理解をもちろんもったうえで、その毒親自身もやはり辛いのだろうな、と思うわけです。

どんな人にも、生まれてきてよかった、という人生を体験してほしいと思っています。でも、毒親として生きているその親自身は、おそらく人とうまくつながれない人生をこれでもかというほど経験しているはずです。毒親の周りの人たちは、色々なトラブルを経験した結果、「この人には関わらないようにしよう」と思うからです。そうやって、毒親は社会から孤立していく。

毒親自身もそれを当たり前のものとして生きていると思いますが、そういう人生を当たり前のものとして受け入れなければならない人間って、やはりとても弱く見えてくるのですね。どんなに威勢よく発言していたとしても、やはり社会に受け入れてもらえない体験を何度も何度も経験している。すると、毒親の人生って何なんだろう、と思うのです。

毒親自身もおそらく幼い頃から辛い経験をしているうえに、社会からも、自分の子どもからも突き放される。そういった人生の価値って何なんだろうと思うわけです。

そういう毒親を生み出さないために、何か対策はできないものかと考えると、100%とは言えないけれど、やはり子どもの時期にしっかり親や人とつながる経験を積ませてあげることと思うのですね。それが、最も効果的な毒親に育たずに済む予防策にはなりえると思っています。精神疾患を完全に予防するということは難しいけれど、人とつながることができるようになることで、社会での様々な生きやすさが生まれるはずです。

毒親からそういうことを学びながら、子どもたちのつながる力を大切に育てたいですね。

次はラジオネーム「あかね」さん。コメントどうもありがとうございます。「あかね」さんも、先日の放送「毒親を乗り越えるためには」に対するコメントですね。

「湯浅先生の声を聞いていると、心がとても落ち着きます。ありがとうございます。大切なお話、涙しながら聞いていました。もっともっとたくさんの人に聴いてもらいたいです」。

どうもありがとうございます。病院での診療でもそうですが、なるべく心の波はないように心がけています。僕の心が荒れていたら、僕に接している相手の心も乱れますからね。それは、ラジオでも同じですね。心の平静が、僕からリスナーさんに、リスナーさんから子どもへ。そういったつながりを信じています。どうぞよろしくお願いします。

そしてラジオネーム「よしひろ」さん。「よしひろ」さんは、僕の新しい書籍に対するコメントを送ってくれましたね。どうもありがとうございます。

「新書読ませていただきました!たいへん胸に響く内容で、上司のような寄り添い方は、自分はできてるかなーと、自分を省みる良い機会になりました。また、新人だった頃の自分も重ね合わせて、周りの人に支えてもらっていたことを、改めて気づき、感謝の想いが湧きました。恩送りのように、新人や後輩に伝えていきたいと思いました。また、子どもたちにもそのことを伝え、寄り添っていきたいと思いました。ありがとうございます」。

どうもありがとうございます。自分という存在を大切にしてもらいたい、自分の価値に気づいてもらいたいと思って書かせていただいたのですね。そのためには、自分の心を操作して、心の平静を保つ必要があります。自分の感情に惑わされてしまわぬように、どうやって心を保つのか。そういったことを書かせていただいたのですね。

心の平静を保って自分を大切にできるからこそ、人に対して優しく接することができますね。うまく人とつながることができるということです。そうやって人とつながれるからこそ、自分らしさや自分の価値が見えてきます。だからこそ、色々なことにチャレンジして、自分らしい人生を掴むことができる。そうやって、人生が楽しく開けていくのですね。

この書籍を書く中で、今の子どもたちのことを思っていました。今の子どもたちは、コロナ禍を経験して、人とつながりにくい社会を当たり前のように生きています。そういった子どもたちが大人になり経験するのは、少子高齢化で大きく変わる社会です。その社会は、限られた人材で、支援を必要とする多くの国民を支える社会なのです。それは、限られた人材同士でうまくつながって協力することを求められる時代と言えますね。

つまり、つながりを経験しにくい時代を生きた子どもたちが、大人になるとつながりを今以上に求められる時代を経験するということです。

これからの日本社会は、もので溢れるというよりも、あらゆるものが廃れていく、そういう時代を経験します。地域の多くの学校が廃校になる。空き家が増える。そういった子どもたちの将来が見えるからこそ、ものに頼ったり、見える外の世界を整えようとすることでは、到底子どもたちの幸せを生み出せないことがわかります。

では、そんな将来を生きる子どもたちに「人生って楽しいなあ」と思ってもらうために、今の大人たちにできることは何でしょうか。それは、見える世界に惑わされないように、子どもたちの内面、つまり心を豊かにするということですね。子どもたちが成長するとともに、自らの感情を操って、自分の心を豊かに整えられるだけの力を育ててあげること。それが、これからの時代を生きる子どもたちに対して、今の僕たちがおこなうべきことと思っています。そういったことも考えながら、この本を書かせていただいていました。

今日はこれで終わります。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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