子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

店員さんとのやりとりから見えてくるその人となり

2022/06/15

記事【店員さんとのやりとりから見えてくるその人となり】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日も早速コメントをご紹介したいと思います。今日のコメントは、今同じ病院で働いている先生からいただいたコメントですね。ラジオネームは「そういっちゃん」さんからです。

「医師のためのリベラルアーツを読み始めています。まだ最初しか読んでいませんが、患者さんのことを自分の感覚に馴染ませる、という文章が印象に残りました。以前湯浅先生がおっしゃっていたのを思い出しました」。

どうもありがとうございます。患者さんのことを自分の感覚に馴染ませることが大切というのは、子どもについても同様です。患者さんだったり、子どもだったり、相手に少し変わったことがあれば、その変化に気づく。それは、その相手のことを知ろうとして、ようやく理解できるようになっているからですね。

例えば、僕たち医師が患者さんの点滴を確保する時のことを考えてみましょう。患者さんごとに点滴のとりやすさが異なります。点滴をとりやすい患者さんもいれば、とりにくい患者さんもいる。点滴を入れる血管の走行も、患者さんごとに体の特徴が微妙に違ったりします。

それと同じように、子どもにもその子なりの特徴があります。何か物事に取り組もうとする時に、その子なりの落ち着くポイントがあるものです。そういうものです。一緒に手を握って安心させてあげられれば、物事に取り組める子どももいるし、いったんぎゃーっと興奮したら、1時間は落ち着かない子どももいます。その子、その子によって、やはり特徴は違います。

そういった相手の特徴を自分の感覚に馴染ませられるようになると、自然と体が反応して対応できるようになる。あるいは、その子の「普段と比べてちょっと違うところ」に敏感に気付けるようになるものです。ちょっとした些細なことでも、早い段階で気付けるようになっておくと、やはり解決が早いのですね。そんなことが、医療の世界にも、子育ての世界にもたくさんあるのですね。

だから、患者さんや子どもたちの普段の様子や特徴を理解したい、そう思っています。

そして、この子どもの特徴を感覚で理解していることが、どれだけ大切なのかがわかる瞬間があります。それは、不登校の子どもが学校に行くようになった頃です。

不登校になって親御さんが困っている時期に僕の外来にやってくると、その時には僕の感じているお子さんの様子と親御さんの感じているものにギャップを感じることが少なくありません。正直なところ、親御さんはその子の様子を理解できていないと僕は感じています。

その後、何度も通院を繰り返していただくうちに、そのギャップが埋まっていきます。こんなシチュエーションで子どもがこんな行動を起こした。それは、子どもの心にこんな変化が生まれているから。そういった僕が感じていることを、親御さんに伝える作業を繰り返します。そうやって、僕と親御さんとが感じているもののギャップを埋めていくのですね。

そんなことを何度も何度も繰り返していくうちに、嬉しい変化が出てきます。「この子の特徴は〜だから、こんな風に対応しました。そうしたら、子どもは落ち着きましたよ」、そんな風に親御さんが子どもの特徴に合わせて、自らの行動を工夫して、結果うまくいく。そういったことが増えていくのですね。

そういった出来事が増えてくると、その半年後あるいは1年後からようやく不登校の状態が変わっていきます。子どもに、自分から何かをトライする気持ちが生まれてくる。そして、「僕/わたし、学校に行ってみる」、そんな言葉を口にするようになるのですね。

そういうことを何度も何度も経験していると、「やはり親子での適切な関わりの積み重ねが、子どもの生きやすさを生むのだ」と確信していくのですね。親子の関わりは、子どもの行動を変えるのに即効性はないかもしれません。でも、その適切な親子の関わりは、子どもの一生を支えます。保証します。

ただ、そんな成功例を経験する一方で、やはりなかなか子どもの様子が改善しない例もあります。そうやって、子どもの行動が改善しない例には、ある共通点があります。それはなんだと思いますか?それは、変わろうとしない親御さんです。親御さんの関わりが適切な方向に変わらなければ、正直なところ、子どもの生きやすさは生まれません。

子どもの回復は、親にかかっている。それは親御さんにプレッシャーをかける言葉かもしれません。でも、そのプレッシャーからいつまでも逃れていると、やはり子どもは回復しない。親御さんを追い詰めてしまうことは避けたいとは思いますが、いっこうに変わろうとしない場合には、オブラートに包まずになるべく率直に親御さんに僕の考えをお伝えするようにしています。そういう場面では陰性感情も生まれるものですが、それはそういうものと思っています。そのことに遠慮して、親御さんが変わらなければ、やはり子どもは変わらないのです。

子どもの時期は今しかありません。子どもの引きこもりが、成人期になってどんな状態を生むかを理解しています。親なきあとに困るのは、やはりその子ども本人であることを知っています。そんな未来の様子も想像すると、解決するべきタイミングは、やはり今なのです。そうやって、貴重な子どもの時期を理解しているからこそ、なかなか親御さんが変わろうとしない場合には、率直に僕の考えをお伝えするようにしています。

そしてもう一つ、生きづらさを抱える子どもが回復するうえで、大事な親御さんの特徴があります。それは、裏表の少ない親御さんであることです。人は誰しもある程度、社会に対する表向きの表情と、裏の実際の表情があるかもしれません。でも、その裏表が大きい親御さんほど、子育てはうまくいきません。表向きには上品な対応をしていても、気が緩むところで下品な対応をしていれば、やはりそのギャップは子育てにも現れるものです。

考えてみたら当たり前です。そういう親御さんは、子どもの前でも態度が急変してしまうからです。同じシチュエーションで、ある時は笑っていたのに、ある時は急に怒る。そうやって感情が安定しにくい親御さんを前にすると、子どももどう振舞っていいのかわからなくて、不安になってしまうのです。日常の不安が改善されにくいからこそ、子どもに生きづらさが生じてしまう。

そんな裏表を確認するための方法として便利なのが、挨拶です。その人となりを確認するうえで、とても参考になります。あらゆる職種のスタッフとどんな挨拶を交わしているかで、子育ての様子が想像できるものです。

実はそれは、社会人にも適応できます。様々なスタッフとうまく挨拶を交わせている人とそうでない人では、明らかに仕事の出来や働きやすさが変わっていきます。

特に、ファーストフード店やコンビニなどで、自分が何かを購入するという場面はその人の特徴がわかりやすいかもしれません。目上の人に対応しているわけではない、少し気が緩むような場面にこそ、その人の人となりをうかがい知ることができるものです。面白いものです。

誰に対しても、「ありがとうございます」と言って笑顔で挨拶ができるのか。あるいは、ある人には丁寧に対応するけれど、コンビニの店員さんにはぶっきらぼうに何も言わずに商品だけ持ち帰ってしまうのか。そういったところに、その人の人となりが現れるものです。

いつか、リスナーの方からいただいたコメントに、「その人の表情に性格が現れる」といったようなコメントを頂いたことがあると思いますが、それは本当にそうですね。人となりは、やはりわかってしまうものです。子育ての様子も、その人をみたらわかってしまう。そういうものです。

子育ての知識は、人生のあらゆるところに応用できます。

面白い世界なのです。

色々あると思いますが、だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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