子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

大人が起こしてしまう、気になるニュース

2022/02/01
#気になるニュース #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【大人が起こしてしまう、気になるニュース】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。

今日は、児童養護施設の方へお話しさせていただく予定でいます。色々な生活背景の結果、自宅ではなく施設で過ごしている子どもたち。そんな子どもたちの中には、親との間での安心できる信頼関係を作れていないケースも少なくありません。そういった親と子どもとの安心できるつながりを作ること。それは、大人になった時の生きやすさ、生きづらさに関係します。

そんな今回は、大人が起こしてしまう、気になるニュースについてお話ししたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

大人の問題の背景にある、子どもの頃の経験

大人が起こす数々の事件に関するニュースを耳にする度に思うことがあります。それは、事件を起こしたその人は、子どもという時期をどう過ごしたのだろうということです。親からの関わりはどんなものだったのだろう。不安が生じた時に、その不安を解消できる親子関係はあったのだろうか。そんなことを思うのです。

子どもは、不安が生じたら親との関係によってその不安を解消します。親のそばに寄って行ったり、体に触れたり、言葉を交わしたり。そうやって親と関わることによって、子どもは自分の不安を取り除こうとします。

特に乳幼児期の親子関係はとても大切です。子どもは成長するとともに、自分と親の区別がつくようになります。そして親と他人の区別がつくようになる。そうやって次第に、社会を感じ、様々な初めての体験を繰り返すようになるのです。

初めてのものに遭遇するたびに、不安が生じます。不安が生じながらも、信頼できる親の存在を感じながら、一つひとつ不安を克服していきます。そうして、幼稚園・保育園・学校という社会での出来事を、有意義な経験として獲得していくのです。

不安がつながる人生

そういった不安と隣り合わせの人生の中で、最も不安が高まる時期がありました。それが、1歳〜2歳の頃です。そういった時期に、親が離れることを嫌がる分離不安というものもありました。でも、しっかり親子の関わりを大切にすれば、その不安も軽減していきます。

しかし、子どもが不安を生じても、親子の関わりが持てずにいると、子どもの不安は解消されません。いつまで経っても親の元を離れられない分離不安が続きます。そうすると、そういった子どもが成長すると、社会での人との交流の中でも不安が強い状態が続くことを経験します。

例えば、学校生活の中でお友達や初めて会う人と交流することが難しい社交不安を生じることも少なくないのです。そうやって交流することに不安が強いと、不登校という状態を生じることさえあります。次第に成長すると、さらに大きな社会が待っています。学校の頃以上に色々な人と交流する大人の時期を迎えます。すると、人と交流する中で自分の気持ちが落ち着かずにパニックになってしまうこともあるのです。

つまり、不安の状態が人生の中でつながるということです。不安が強い状態だと、うまく生活できない状態が生まれます。しかもそういった不安の状態は、周りには見えません。不安が見えずにわかりにくいからこそ、うまく生活できないことを周りから注意されることもあります。

大人が抱える問題のカラクリ

その人自身は、不安がうまく解消できずに困っているうえに、周りからはうまく生活しろと注意されてしまう。そんな経験を重ねると、さらに生きる自信がなくなってしまいます。社会への信頼も失ってしまいます。社会はどうせ自分のことを理解してくれない。そんな心が育つのです。

生まれ持った子どもの個性はありながらも、親から子どもへの関わりで不安を解消するという経験を積めるか否かで、子どもの人生が大きく変わることが理解いただけると思います。不安を解消できない子どもの心が備わった後には、社会生活に適応しにくく、周りからは理解してもらえないという現実があるのです。

そういった経験を重ねて大人になった人が、いつしか事件を起こしてしまう。そんな現実もあります。もちろん大人であるから、その事件の責任はその人がとる。そうやって、親の責任が、いつの間にか、子ども自身の責任に転嫁される時期がやってくるということです。その人本人も、まさか自分の行動の原因が、幼い頃の親子関係にあったとは想像もつきません。

そうやって、数々の事件が起きている社会が見えてきます。このような現代に起きている数々の事件を解決するには、やはり社会が親子関係に価値を見出すということが必要です。子育て支援を充実させることが、20年後、30年後の社会を改善します。そのことを信じて、今の社会を見直せるか。荒んだ心が起こしてしまった事件のニュースを耳にするたびに、そういったことを思います。

今回はここまでです。

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記事のポイント!

  • 親子関係から発展している大人の問題は少なくない
  • 不安は人生でつながっていく
  • 社会問題を解決するために必要なのは、子育て支援

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